浜松市で昔から栽培されている「遠州落花生」
8月中旬~9月上旬に収穫シーズンを迎える「遠州落花生」。遠州地方では古くから落花生が栽培されており、この地で引き継いできたものは「遠州落花生」と呼ばれ、『実(み)が小さくて、味が濃く、甘みが強く、噛めば噛むほど味が出てくる』のが特徴です(最近よく見る「ジャンボ落花生」とは違う種類のものです)。あったか農場の畑では一足早く収穫。この日は栗田アナウンサーも収穫を体験してくれました。
一般的に売られているのは「煎り(いり)落花生」
落花生は、栽培したあと手間がかかります。畑で乾燥させたあと、「莢(さや)」を葉・くきと分離する「脱莢(だっきょう)」という作業を行い、専用の機械で水洗いをします。さらに1か月以上乾燥させ、仕上げに焙煎(焙煎)したものが、一般的によく見る「煎り(いり)落花生」となります。
「なま落花生」は収穫シーズンだけのレアな珍味
一方で、収穫シーズンには、収穫から3日間ほどしか味わえない特別な落花生があるんです。それは「なま(生)」の落花生。乾燥の工程を踏む前の「採れたて」です。実はこれ、希少なんです。時間がたつと乾燥して固くなっちゃうので、収穫したら3日ほどが生ならではの味わいを存分に楽しめる期間です。賞味期限が短いので一般的な市場に出るものも少ない。落花生を作っている地域で、収穫シーズン(8月中旬~9月上旬)だけ楽しめるレアな珍味なのです。
「なま落花生の塩ゆで」レシピ
この「なま落花生」はシンプルに「塩ゆで」するのが最高に美味しいです。鍋に水と落花生と塩を入れ、蓋をして強火で沸騰させます。沸騰したら中火で約50分加熱したら完成、少し時間はかかりますが、簡単です。
栗田アナ:うん。おいしいです!しっとりしてますね、柔らかいんですけど、噛めば噛むほどすごく甘さも出てきて、とっても美味しいです。ずっと口の中にお豆のいい香りが残ってますね。
海のミネラルで育つ遠州落花生
浜松の遠州灘に沿った砂地地帯は、水はけが良く落花生の栽培に適した場所なんです。そして海が近いので海風をもらっていいミネラルが入ります。この恵まれた環境が美味しい遠州落花生を百年近くにわたり作ってきました。古くから農家ごとに種を選別し代々その味を守り続けてきました。ところが、栽培後の作業が大変なため、作る人がどんどん減り今では4、5軒になってしまいました。
落花生農家の「たつ子さん」から受け継いだバトン
あったか農場の渥美隆裕は、ある農家のおばあちゃんから遠州落花生の種を8年前に譲り受けました。それが刑部(おさかべ)たつ子さん。御年89歳です。たつ子さんは20歳のころ篠原の農家にお嫁に来て、義理の父の寛二郎さんが作っていた遠州落花生を以後65年にわたり作り続けてきました。
しかしながら、落花生は栽培後の作業が重労働。お年を召したたつ子さんは落花生づくりははそろそろ終わりにしようかと考えていました。そんな折に、新規就農で篠原でたまねぎ作りを始めたあったか農場の渥美と出会い、「この青年なら」と落花生の種を譲ってくださいました。
受け継がれたこの味を、地元の人に知ってもらいたい。
その作業の大変な手間ひまを考えると農家としては手を出すべきではないかもしれない。でも種を引き継がなければ代々引き継いできた種がここで途絶えてしまう。あったか農場の渥美は遠州落花生の栽培を決意。これからも種を大切に守り作り続けていきます。
そして、あったか農場の願いは「この土地が育てたこの落花生を、この土地の人に食べてもらいたい」ことです。特に、落花生畑の周りにしか出回らない「なま落花生」の美味しさを、地元の方々が知らないのはもったいない。だから、初めての方々に味見してもらえるように、あったか農場では「なま落花生」を塩ゆでして直売所で試食していただいています(8月中旬~9月上旬)。
試食したお客様のご感想:初めて食べたんですよ。乾燥している落花生と全然違うと思います。なんか、ふくふく感もあるし、冷めても絶対おいしそう。
ありがとうございます♪
とびっきりしずおか!のスタジオの皆さんもお味見!
・柔らかい、甘い。柔らかくて歯が悪くても食べられそう
・一口食べるともう止まらない
・本当にほくほくしてます。みずみずしさがあるというか。実がぎゅっと詰まってます
・ミネラルとか全部入ってるから、もうそれが凝縮してるんですよね
・噛めば噛むほど甘さが出るというのがよくわかります。あと、おつまみにもピッタリ
・みんな笑顔になりそうな感じですよね。一度食べたらやめられなくなる。そんなおいしさ!
皆さんにも「なま落花生」、ご好評いただきました。
「とびっきり静岡」の皆様、取材にお越しいただきありがとうございました。
(おまけ)「なま落花ごはん」クッキング
上で紹介した「なま落花生の塩ゆで」を使ったアレンジメニュー「なま落花ごはん」の作り方をご紹介します。炊飯ジャーにお米を入れ、「なま落花生の塩ゆで」 120g、あとはお出汁・薄口醤油・顆粒だしを入れて軽く混ぜたら。蓋をして炊き込むだけ。
栗田アナ:いい香りがします。いただきます。ほかほか。これはご飯に合いますね。とっても美味しいです。このご飯の朝と、そして落花生の甘さがすごくマッチしていて、美味しいですね。炊き込みご飯にすることで、よりふっくらしますし、お出汁がきいています。
※普段は「乾燥させた落花生」を使用して炊き込みご飯を作ります。この「なま落花ごはん」は収穫シーズンだけの特別レシピです
ここまでお読みになってくださりありがとうございます。
あったか農場ではこれからも遠州落花生を作っていきます。
「なま落花生」「「なま落花生の塩ゆで」は8月中旬~9月上旬ごろ直売所で販売します。
多くの日で試食をご用意していますのでぜひお味見くださいね。
あったか農場 直売所